慢性便秘の診断基準
2017年10月に発行された『慢性便秘症診療ガイドライン』に基づき、慢性便秘症について簡単にまとめました。
1.慢性便秘の定義
「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」
2.慢性便秘の分類
原因の分類
- ・器質性便秘
大腸の形態的変化を伴う便秘であり、狭窄性と非狭窄性がある。 - ・機能性便秘
症状や病態により、以下のように分類される。
症状の分類 -機能性便秘-
- ・排便回数減少型便秘
- ・排便困難型便秘
病態の分類 -機能性便秘-
- ・大腸通過正常型便秘
- ・大腸通過遅延型便秘
- ・便排出障害
- ※慢性便秘症は、大腸がんなどにより器質性狭窄性の原因を鑑別したあと、症状のみによって排便回数減少型と排便困難型に分類する。
※排便回数減少型での排便回数は週に3回未満だが、排便回数や排便量が少ないために結腸に便が過剰に貯留して、腹満感や腹痛などの便秘症状が生じている場合は、週に3回以上の排便回数でも排便回数減少型に分類してよい。
※排便困難型は排便回数や排便量が十分あるにもかかわらず、排便時に直腸内の便を十分排出することができず、排便困難や残便感を生じる便秘である。
※尚、便秘には複数の病態を併せ持つ症例も存在する。
3.慢性便秘症の診断基準
以下の6項目のうち、2項目以上を満たす
- a.排便の4分の1超の頻度で、強くいきむ必要がある
- b.排便の4分の1超の頻度で、兎糞状便または硬便(BSFSでタイプ1か2)である
- c.排便の4分の1超の頻度で、残便感を感じる
- d.排便の4分の1超の頻度で、直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある
- e.排便の4分の1超の頻度で、用手的な排便介助が必要である(摘便・会陰部圧迫など)
- f.自発的な排便回数が、週に3回未満である
「慢性」の診断基準
-
- 6カ月以上前から症状があり、最近3カ月間は上記の基準を満たしていること。
参考文献
日本消化器病学会関連研究会、慢性便秘の診断・治療研究会:慢性便秘症診療ガイドライン2017、南江堂