腸内洗浄とは
腸内洗浄は、大腸洗浄、コロンハイドロセラピー(結腸水療法)、コロンクレンジング(大腸洗浄)とも呼ばれており、結腸内に蓄積している便(宿便)を除去する療法です。
一般的には、肛門からノズルを挿入し36~38℃の1~2リットルの温水を結腸内に注入、結腸内の便の排出を促します。
最近では、大腸内視鏡検査の前処置で使用されている2リットル程度の薬剤を飲用することで、小腸や大腸の内容物を排泄する行為も、“経口的腸内洗浄”と呼ばれ、医療機関にて行われています。
腸内洗浄の種類とメリット・デメリット
コロンハイドロセラピー:専用の医療機器を使用した腸内洗浄
医療機関で行われている“コロンハイドロセラピー”では、訓練を受けたセラピストが、温度と圧力を綿密にコントロールするための特殊な機械を使用し、患者の結腸に注入し、穏やかな腹部軽擦を行うことで、排泄物や腸内ガスの除去を促していく療法です。
直径2cmほどのアプリケーターを直腸の長さ(4~6cm)まで挿入し、仰向けに寝たままの状態で、お湯の注入と排泄を交互に繰り返していきます。
メリット
- 清潔なお湯で結腸内圧を上げるといった物理的刺激により、結腸のぜん動運動や直腸の排便反射を促すため、刺激性下剤などの薬液によって生じる腸の過剰な運動やけいれんを起こす危険性が少ない。
- 注入する水温と水圧を精密にコントロールし、結腸内の圧力を測定し安全を保ちながら注湯することが可能であり、腸穿孔などの危険を回避できる。
- 仰臥位の姿勢で排泄を試みることにより、結腸のぜん動運動と直腸の排便反射の連動を促進する効果が期待できる。
デメリット
- 医療機関で行う自費診療のため値段が高い。
- 結腸のぜん動運動が弱い場合、便を十分に除去できないことがある。
- 結腸の変形が著しい場合(落下腸・ねじれ腸など)、結腸内に十分な注湯ができない可能性がある。
伝統的な高位浣腸
微温湯や食塩水などを腸内に注入し、結腸内の圧力を上げることで腸のぜん動運動を促し、便を排泄する方法です。細いチューブのついた容器に1~2リットルの微温湯を入れ、約1メートルの高さで吊るし、細いチューブを肛門に挿入し、自然落下の力で結腸内に微温湯を注入したのち、トイレで排泄を行います。
メリット
- 清潔なお湯で結腸内圧を上げるといった物理的刺激により、結腸のぜん動運動や直腸の排便反射を促すため、刺激性下剤などの薬液によって生じる腸の過剰な運動やけいれんを起こす危険性が少ない。
- 自宅で行うことができ手軽である。
- 自身で行うことができ手軽である。
デメリット
- 自身で行う場合、肛門からノズルを挿入する際、直腸を傷つける恐れがある。
- 結腸のぜん動運動が弱い場合、液体だけが先に排出され、便が排泄されないことがある。
- 直腸の排便反射トレーニング効果はないため、直腸内の高圧に腸が慣れると自力での排便が困難になることがある(刺激性下剤の副作用に順ずる)。
経口腸洗浄剤
大腸内視鏡の前処置で使用される2リットル程度の腸内洗浄剤を飲用することにより、胃・小腸・大腸の内容物を排泄する方法です。薬剤には以下の種類があります。
モビプレップ、マグコロール、ニフレック:液体を1.6~2リットル服用する必要があります。
10分おきにコップ1杯(180~200ミリリットル)ずつ薬水を飲む、これを10回繰り返します。
ビジクリア:錠剤5錠を200ミリリットルの水で飲む、これを10回繰り返します。
メリット
- 自身で行うことができ、手軽である。
- 自宅でできるので手軽である。
- 医療機関で行う大腸注湯法よりも、値段が安価である。
デメリット
- 大量の液体を経口摂取するため、腹満などの苦痛がある。
- 薬の味が嗜好に合わず、飲みにくい場合がある。
- 消化管全体(胃から直腸まで)の内容物が排泄させる可能性があるため、良い腸内細菌が大量に流される可能性が高く、腸内細菌叢が大きく乱れることがある。
- 逆に、お腹だけ痛くなり、消化管全体(胃から直腸まで)の内容物が排泄されない可能性がある。
- まれに腸管穿孔、腸閉塞、虚血性大腸炎及びマロリー・ワイス症候群を起こすことがある。
全ての方法に共通する副反応
排便に伴う腸管内圧の変動により、迷走神経反射(めまい・ふらつき・一過性の血圧低下等)が起こることがあります。
このコラムの執筆者
齊藤 早苗(サイトウ サナエ) コロンハイドロセラピスト・看護師・インナー美人アドバイザ-
看護師として大学病院などに勤務後、2000年に米国で腸内洗浄(コロンハイドロセラピー)の研修を受け、国際ライセンスを取得。
12.000人以上のガンコな便秘やぽっこりお腹に悩む女性に腸内洗浄を施しながら腸ヘルスケアの指導を行う。また、腸の健康推進や腸もみマッサージ指導などの啓発活動として、セミナーや講演、雑誌、TV、WEBなどのメディア取材にも応じる。日経ヘルスにて連載した「おなかのきもち」は8年間の長期連載を記録。
著書:美女になる腸トレ、美腸やせなど多数。早稲田大学卒業。「便秘による心身症状の認知行動療法」を研究中、日本心身医学会にて原著論文採択。コロンハイドロセラピスト歴21年、健康カウンセラー歴18年 。
・国際コロンハイドロセラピー協会会員
・日本心身医学会会員
・日本心理学会会員
齊藤早苗公式サイト https://www.saito-sanae.com/